カクテルの道具|初心者がまず買う3つと、後回しでよいもの・代用が効くもの

カクテルの道具は、種類の多さではなく「どこまで作るか」で決まります。ジンをロック・ストレート・ソーダ割り・ジントニックまでで飲むなら、要るのはグラス・計量するもの・混ぜるものの3つだけです。果汁や砂糖を足す一杯に進むとシェイカーと漉すものが増え、氷と一緒に混ぜて漉す一杯まで行くとミキシンググラスが加わります。代用が効くかどうかは「その道具が担っているのが形か、量と温度か」で見分けられます。形を担う道具は台所のもので足り、量と温度を担うもの(氷とグラスの容量)は代えが利きません。
カクテルの道具を調べると、メジャーカップからストレーナー、アイスピックまで十数点が並んだ一覧に行き当たります。ただ、ジンを1本買って家で飲みはじめる人にとって、知りたいのは道具の種類ではなく「自分が作る一杯に、そのうちどれが要るのか」のほうです。この記事では道具を作る飲み方の段階で切り分け、最初に買う3つ、あとから足すもの、台所のもので代えられるもの、そしてまだ買わなくてよいものの順にまとめます。
カクテルの道具は「どこまで作るか」で決まる
道具の数は、ジンに何を足すかで段階的に増えます。段階ごとに、作れる一杯と要る道具を並べると次のようになります。
| 段階 | 作る一杯 | 要る道具 | 工程 |
|---|---|---|---|
| 1 | ロック、ストレート、ジンソーダ、ジントニック、ジンリッキー | グラス、計量するもの、混ぜるもの | グラスの中で注ぐ |
| 2 | ジンフィズ、ギムレット | +シェイカー、搾るもの | 氷と一緒に振る |
| 3 | マティーニ | +ミキシンググラス、ストレーナー | 氷と一緒に混ぜて漉す |
段階が上がるほど道具が増えるのは、氷と一緒に扱う工程が増えるからです。段階1はグラスの中で完結しますが、段階2と3は「グラスの外で氷と合わせて、氷を残して中身だけ移す」という工程が入ります。シェイカーもミキシンググラスもストレーナーも、突き詰めればこの工程のためにあります。
逆に言えば、氷と一緒に振ったり漉したりしない飲み方だけを作るうちは、道具は段階1から増えません。どの一杯がどの段階に当たるかはジンのカクテル一覧の早見表に、混ぜ方の型そのものの違いも同じ記事にまとめています。
最初の3つ|グラス・計量するもの・混ぜるもの
段階1で要るのは、グラスと、量るものと、混ぜるものの3点です。それに氷が加わります。
段階1で要るのはこの3つと氷だけです。(AIで生成したイメージです)
グラスは、種類ではなく容量で選びます。背の高いタンブラーが1つあれば、割り材を使う飲み方はひととおり作れます。氷を口まで詰めると液体の入る余地はグラスの容量の半分強になるので、その余地に収まる分量で組み立てることになります。容量ごとの分量の目安はジンソーダの割合とジントニックの作り方に表で載せています。ロックに使う背の低い厚手のグラスは、そのまま飲む機会が出てきてからで足ります(ジンのロックとストレート)。
計量するものは、目盛りのついたメジャーカップが扱いやすい形です。多く出回っているのは大小の円錐を合わせた形で、30mlと45mlのように二つの量を一つで量れます。量る理由は味の再現ではなく、完成した一杯の度数が分量で決まることにあります。同じ割合でも使うジンが40%か47%かで仕上がりが動くので、最初の数回だけでも量っておくと自分の位置が分かります(ジンの度数)。
混ぜるものは、細くて長いものであれば形は問いません。バースプーンの柄がねじれているのは、氷とグラスの隙間に差し込んで、氷を削らずに底まで下ろすためです。
氷は道具ではありませんが、この3つより結果に効きます。割り材で満たす飲み方なら家庭の製氷機の氷で足り、ジンをそのまま飲むときだけ大きさが問題になります。氷の大きさと溶け方の関係はジンのロックとストレートにまとめています。
振る・漉す・搾る|果汁と砂糖が入る一杯から要るもの
段階2に進む目印は、材料に果汁や砂糖が入るかどうかです。炭酸の割り材は注ぐだけで混ざりますが、果汁と砂糖は混ざりにくいので、氷と一緒に振って混ぜながら冷やす工程が要ります。
- シェイカー — 一般的な形は、本体・漉し器・蓋の3つに分かれるものです。漉し器が組み込まれているので、これ1つで「振る」と「氷を残して注ぐ」の両方ができます。本体と大きめのカップを合わせて使う形もありますが、そちらは漉すものを別に用意する前提になります。最初の1つは3つに分かれるほうが、買い足しが要りません。
- 搾るもの — ライムやレモンを1杯ごとに搾るなら、果汁と種を分けられるスクイーザーがあると手が汚れません。手で搾ってもかまいませんが、搾れた量が読めないのが違いです。果汁の量で酸味が決まる一杯では、量れることが味の安定につながります。
- ミキシンググラスとストレーナー — 段階3の道具です。氷と一緒に混ぜてから氷を残して注ぐための組み合わせで、この記事の範囲ではマティーニが該当します。
段階2と3の道具は、その段階の一杯を作る頻度が見えてから買うほうが余りません。ジンを1本買った時点では、どの飲み方が自分に合うかはまだ決まっていないからです。割り材ごとの相性はジンの割り方に一覧があります。
代用が効くもの、効かないもの
道具の一覧を前に迷うのは、「これは買わないと無理なのか、家にあるもので足りるのか」が書かれていないからです。見分け方は一つで、その道具が担っているのが「形」か、「量と温度」かを見ます。形を担う道具は台所のもので代えられ、量と温度を担うものは代えが利きません。
形を担う道具は、台所にあるもので代えられます。(AIで生成したイメージです)
| 役割 | 専用の道具 | 代わりになるもの | 代用したときの差 |
|---|---|---|---|
| 量る | メジャーカップ | 大さじ(1杯=15ml) | 30ml・45mlは大さじ2杯・3杯。15ml未満は小さじで |
| 混ぜる | バースプーン | 箸、細いスプーン、マドラー | 細く長ければ差は出ない |
| 振る | シェイカー | 蓋のしっかり締まる保存瓶 | 漉すものが別に要る |
| 漉す | ストレーナー | 茶こし | 目が細かいぶん、注ぐのに時間がかかる |
| 搾る | スクイーザー | 手と、種を受ける茶こし | 搾れた量が読めない |
| 注ぐ器 | 専用のグラス | 手持ちのコップ | 容量が足りていれば差は出ない |
| 冷やす | 氷 | — | 代わりになるものがない |
保存瓶でシェイクするときだけ、一つ注意があります。ガラスは急な温度差に弱いので、洗った直後の温かい瓶に氷を入れるのは避けます。
代用が効かない側、つまり氷とグラスの容量は、味に直接効く数量そのものです。氷が少なければ冷える前に溶けた水だけが増え、グラスが小さければ割合どおりに注げません。道具を選ぶときは、この2つから先に決めると外しません。
まだ買わなくてよいもの
買わない判断にも根拠を置けます。基準は作る頻度です。
- 道具の一式セット — 段階3までの道具がまとめて入っていることが多く、段階1しか作らないうちは使わないものが手元に残ります。何を作るかが決まってから、足りないものだけを足すほうが手数が少なくて済みます。
- 飲み方ごとにグラスを揃えること — グラスは容量で選べば1つで兼ねられます。脚付きの小さなグラスは、ジンをそのまま少量で飲むようになってからで間に合います。
- 氷を整える道具・飾りのための小物 — 見た目に関わる道具で、味を決める量と温度には効きません。
- 電動で撹拌する道具 — ジンのカクテルで該当する飲み方が限られます。
「とりあえず一式」で始めると、使わない道具の置き場所と手入れだけが増えます。段階1の3つで数回作ってみると、自分が次に進むのか、割り材だけの飲み方で足りるのかが見えてきます。
サイズと手入れ|長く使うための選び方
同じ道具でも、選ぶときに見る点があります。
- メジャーカップ — 目盛りが内側に刻まれているものだと、二つの量だけでなく途中の量も読めます。果汁のように少量を量る材料があるなら、小さい側で15ml以下まで読めるかを見ます。
- グラス — 厚みがあると手の熱が伝わりにくく、口径が広いと香りが上がってきます。どちらも容量を決めたあとの話なので、まず入る量から決めます。
- シェイカー — 一度に2杯作ることがあるかどうかで容量が決まります。1杯ぶんを振るのに大きすぎる容器を使うと、材料が氷に触れる面が減ります。
手入れは、金属とガラスで分けて考えます。金属の道具は洗ったあと水気を拭いて乾かします。果汁を搾ったり注いだりした道具は香りが残りやすいので、使い終わったら早めに洗います。ガラスは前述のとおり急な温度差に弱いので、熱い状態で氷に触れさせないようにします。
ジンそのものの置き場所は道具とは別の話で、ジンの保存方法にまとめています。道具は洗って乾かしたあと、グラスを伏せて置くか、口を上にして埃が入らない場所に置くかのどちらかで足ります。
よくある質問
カクテルの道具は一式のセットで買ったほうがよいですか?
作る一杯が決まっていない段階では、必要な数より多くなりがちです。ロック・ソーダ割り・ジントニックまでで飲むなら、要るのはグラスと計量するものと混ぜるものの3つで、シェイカーやストレーナーは使いません。まず3つで数回作り、果汁や砂糖を足す一杯を作りたくなってからシェイカーを足す、という順にすると使わない道具が残りません。逆に、段階2・3まで作ることが最初から決まっているなら、まとめて揃えるほうが手間は少なくなります。
メジャーカップがありません。目分量ではだめですか?
作れます。ただし、完成した一杯の度数は分量で決まるので、目分量だと自分がどのあたりを飲んでいるのかが分からなくなります。大さじで代用でき、1杯が15mlなので2杯で30ml、3杯で45mlです。最初の数回だけ量って、グラスのどこまで注げばその量になるかを覚えてしまえば、そのあとは目分量で足ります。割合と度数の関係はジンの割り方に計算の式を載せています。
グラスを1つだけ選ぶなら、どれを買えばよいですか?
背の高いタンブラーです。割り材を使う飲み方がひととおり作れて、氷を口まで詰めても液体の入る余地が残ります。ジンをそのまま飲むことが増えたら、背の低い厚手のグラスを2つめに足します。専用のものでなくても、手持ちのコップで容量が足りていれば同じように使えます。容量ごとの分量の目安はジントニックの作り方にあります。