マティーニの作り方|レシピはジン5対ベルモット1、ステアの手順と割合の早見表

マティーニは、ジン50mlとドライベルモット10ml(小さじ2)を氷で20〜30秒ステアし、器の外側が曇ったら冷やしたグラスに漉して、オリーブかレモンピールを添えます。ミキシンググラスが無ければ、ロックグラスに氷と材料を入れて混ぜる「オン・ザ・ロック」でも作れます。ベルモットを減らすほど「ドライ」、増やすほど「ウェット」と呼ばれます。
マティーニの作り方は、ジン50mlとドライベルモット10ml(5対1)を氷で20〜30秒ステアし、冷やしたグラスに漉して注ぐだけです。材料と手順を先に示し、そのあとに道具の代わり、割合の選び方、うまくいかないときの直し方を続けます。
マティーニの作り方|材料と5つの手順
材料(一杯ぶん)
- ジン 50ml(大さじ3と小さじ1)
- ドライベルモット 10ml(小さじ2)
- オリーブ1個、またはレモンピール1片(仕上げ)
- 氷(混ぜる器いっぱい)
手順
- グラスを冷やす。 カクテルグラスを冷凍庫に10分入れるか、氷水を入れて回し、直前に水だけ捨てます。
- ミキシンググラスに氷を口まで詰める。 氷が少ないと、冷えるより先に溶けます。
- ベルモット、ジンの順に注ぐ。 少ないほうを先に入れると、量の間違いに気づきやすくなります。
- バースプーンを内壁に沿わせて20〜30秒回す。 氷を持ち上げず、鳴らさずに回転させ、器の外側が白く曇ったら止めます。
- 氷を押さえてグラスに注ぎ、オリーブかレモンピールを添える。
割合はジン5:ベルモット1、合計60mlで小さめのカクテルグラスに収まる量です。ベルモットは白ワインに香草を漬け込んだ酒で、マティーニには辛口の「ドライ(白)」を使います。オレンジビターズを1滴加えるレシピもありますが、無くても成立します。注いだあとは氷が入らず温まっていくので、温まる前に飲みきれる小さなグラスで出します。
バースプーンは氷を持ち上げず、内壁に沿わせて回します。(AIで生成したイメージです)
道具の代わり|ミキシンググラスが無くても作れる
| 道具 | 代わりになるもの |
|---|---|
| ミキシンググラス | 口の広いグラス、計量カップ |
| バースプーン | 箸、柄の細いスプーン |
| ストレーナー | 茶こし、スプーンで氷を押さえる |
| カクテルグラス(90〜120ml) | 小さめのワイングラス、おちょこ |
要件は「氷と一緒に混ぜられる器」と「氷を残して液体だけ移せる手段」の2つです。混ぜる器も漉す道具も無いときは、次のオン・ザ・ロックで作れます。飲み方ごとのグラスの形と容量はジンのグラスにまとめています。ほかの飲み方と並べて見たいときはジンのカクテルへ。
道具がないなら、グラスで直接作る|マティーニ・オン・ザ・ロック
ミキシンググラスもストレーナーも無いときは、飲むグラスの中でそのまま作る方法があります。氷を入れたまま飲むので「マティーニ・オン・ザ・ロック」と呼ばれます。
- ロックグラスに大きめの氷を入れる。 大きな氷1〜2個か、製氷機の氷をグラスの半分ほど。
- ドライベルモット10ml、ジン50mlの順に注ぐ。 分量は通常のマティーニと同じです。
- バースプーンや箸で10回ほど混ぜる。 冷やしきる必要はありません。氷が入ったままなので、飲んでいるあいだも冷えていきます。
- オリーブかレモンピールを添える。
ステアして漉すマティーニとの違いは、薄まり方が「混ぜ終わった時点で止まる」か「飲み終わるまで続く」かです。
| 作り方 | 必要な道具 | 温度 | 強さの変化 |
|---|---|---|---|
| ステアして漉す | 混ぜる器、漉す手段 | 注いだ後は温まる | 注いだ時点で固定 |
| オン・ザ・ロック | グラスと氷だけ | 最後まで冷たい | 氷が溶けるほど下がる |
45%のジンを5対1で合わせた液体は混ぜる前の計算で約41%で、溶けた水が材料と同じ60mlに達すると約20%まで下がります。最初の一口は通常のマティーニに近く、後半は水割りに近づく飲み物です。ゆっくり飲みたいとき、ステアの加減に自信がないときの入り口として向いています。グラスは容量200〜300mlのロックグラスがちょうど収まります(ジンのグラス)。
道具が無くても、ロックグラスと氷で作れます。(AIで生成したイメージです)
割合とドライ・ウェット|「辛口」が指しているもの
現在よく使われている割合はジン5に対してベルモット1(ジン50ml+ベルモット10ml)です。ジンを増やしてベルモットを減らしたものを「ドライ」、ベルモットを多めにしたものを「ウェット」と呼びます。
| 呼び方 | ジン:ベルモット | 一杯ぶんの例 | 計量スプーンで |
|---|---|---|---|
| ウェット | 3対1 | ジン45ml+ベルモット15ml | 大さじ3+大さじ1 |
| 標準 | 5対1 | ジン50ml+ベルモット10ml | 大さじ3と小さじ1+小さじ2 |
| ドライ | 8対1 | ジン40ml+ベルモット5ml | 大さじ2と小さじ2+小さじ1 |
| エクストラドライ | 10対1以上 | ジン50ml+ベルモット5ml | 大さじ3と小さじ1+小さじ1 |
ここで紛らわしいのが、「ドライ」という語が2つの別のことを指している点です。ひとつは材料としての「ドライベルモット」=甘くないほうのベルモットのこと。もうひとつは「ドライマティーニ」=ベルモットの量が少ない配合のこと。ドライベルモットを使ってウェットマティーニを作ることもできるので、この2つは独立しています。
割合を選ぶときの考え方は単純です。ベルモットは香草とわずかな甘みを持ち込む材料なので、増やせばジン以外の要素が増え、減らせばジンの輪郭がそのまま出ます。手持ちのジンの個性をはっきり出したいなら少なく、角を丸めたいなら多く、という方向で動かします。最初は5対1で作り、次に3対1と8対1を作って自分の位置を決めるのが早道です。
レシピによって割合が違うのはなぜか
マティーニのレシピを見比べると、ジン2対ベルモット1のものもあれば、6対1のもの、ジン90mlにベルモットを小さじ半分ほどしか入れないもの(30対1を超える)まであります。どれかが間違っているわけではありません。
マティーニは時代とともにベルモットが減ってきた飲み物で、20世紀の前半にはベルモットの多い配合が普通でした。そこから少しずつ辛口の方向へ移り、いまは5対1〜6対1あたりが標準として扱われ、さらにベルモットを香りづけ程度にとどめる作り手もいます。レシピごとの差は、どの時代のどの好みを基準にしているかの差で、数字が違っても作り方の骨格は同じです。
呼び名が変わる配合
マティーニは、材料を1つ入れ替えると別の名前で呼ばれます。どれも作り方の骨格(氷で冷やして、冷やしたグラスに注ぐ)は同じです。
| 名前 | 変えるところ | 一杯ぶんの例 | 仕上がりの違い |
|---|---|---|---|
| ギブソン | オリーブを小玉ねぎの酢漬けに | ジン50ml+ベルモット10ml | 酢漬けの酸味が加わる |
| ダーティ | オリーブの漬け汁を足す | 上の分量+漬け汁5〜10ml | 塩気が液体全体に回る |
| パーフェクト | ベルモットをドライとスイート半量ずつに | ジン50ml+各5ml | わずかに甘みと色がつく |
| ウォッカマティーニ | ジンをウォッカに | ウォッカ50ml+ベルモット10ml | 香草の香りが引く |
| ヴェスパー | ジンにウォッカと白の香味ワインを合わせる | ジン45ml+ウォッカ15ml+リレ・ブラン7.5ml | ジンのみより香りが穏やか |
ヴェスパーは、イアン・フレミングの小説『カジノ・ロワイヤル』(1953年)で、ジン3・ウォッカ1・キナ・リレ半分という配合とともに登場した名前です。キナ・リレはいまは売られていないため、同じ蔵の白の香味ワインで代えるのが一般的です。小説の中ではシェイクで作られます。
スイートベルモットを主役にしたジンのカクテルにはネグローニがあります。ジンとウォッカが何で分かれているかはジンとウォッカの違いに、ほかのジンのカクテルはジンのカクテルにまとめています。
完成の度数は、使うジンの度数でほぼ決まる
マティーニは割り材で薄めないので、完成した一杯の度数は、ほとんどジンの度数そのものに近くなります。
ドライベルモットの度数は商品によって違いますが、EUの規則(Regulation (EU) 251/2014)はベルモットを含む香味付けワインの度数を14.5%以上22%未満と定めています。市販のドライベルモットは18%前後のものが多いので、ここでは18%として計算しました。手元の瓶のラベルで確かめられます。
| ジンの度数 | 3対1(ウェット) | 5対1(標準) | 10対1(エクストラドライ) |
|---|---|---|---|
| 40% | 約35% | 約36% | 約38% |
| 45% | 約38% | 約41% | 約43% |
| 47% | 約40% | 約42% | 約44% |
| 50% | 約42% | 約45% | 約47% |
これは混ぜる前の計算値です。ステアのあいだに溶けた氷の水が加わるぶん、実際にグラスに入る一杯はこれより一段下がります。45%のジンを5対1で作った場合、溶けた水が材料の2割なら約34%、3割なら約31%です。マティーニの度数が「30%台」と紹介されるのは、この加水後の値です。ジントニックの9〜11%前後と比べると、3〜4倍の濃さになります。
この差が効くのが、国産クラフトジンで作るときです。図譜に収録した110銘柄のうち、公式サイトで度数を確認できた71本を数えると、45%以上が50本(うち47%以上が25本、50%以上が4本)で、中央値は45.0%でした。海外の定番ジンは40%台前半に寄るものが多いのに対し、国産は45%前後を標準にした銘柄が多数を占めます。同じ5対1で作っても、40%のジンなら36%、47%のジンなら42%と、仕上がりの強さは別物です。度数の分布と37.5%という線引きの出どころはジンの度数にまとめました。
度数の高いジンならベルモットを増やす(3対1へ)、**40%台前半のジンなら減らす(8対1へ)**と、どの銘柄でも近い強さに揃えられます。銘柄ごとの度数は図譜のデータ欄に公式サイトの記載どおり載せています。
つくり手自身がマティーニを飲み方として挙げている銘柄もあります。図譜に収録した銘柄の公式サイトの記載から拾うと、次のとおりです。
| 銘柄 | 産地 | 度数 | 公式サイトでの触れ方 |
|---|---|---|---|
| 9148 #0101 Craft Gin standard | 北海道 | 45% | おすすめの飲み方にマティーニなどのカクテル |
| ohoro GIN Standard | 北海道 | 47% | ジントニックやマティーニのベースとして |
| トーキョーハチオウジン CLASSIC | 東京都 | 45% | マティーニをアレンジした「トーキョーマティーニ」 |
| Boodles British Gin | イギリス | 45.2% | martini(マティーニ)に使う一本として |
| The Botanist Islay Dry Gin | イギリス | 46% | Dry Martini(ドライマティーニ)に |
5本とも45%以上なので、5対1で作ると混ぜる前の計算で41〜42%になります。強さを抑えたいときは、上の考え方どおり3対1に寄せると揃います。
ベルモットは開けた日から変わる|保存と瓶のサイズ
家で作ったマティーニが店のものと違うとき、原因がジンや腕ではなくベルモットの状態にあることがあります。
ベルモットはワインを土台にした酒です。ワインと同じで、栓を開けた時点から空気に触れて変わっていきます。ジンやウォッカのような蒸溜酒は常温の棚に置いても長く持ちますが、ベルモットを同じ扱いにすると、数か月後には別の味になっています。
- 開けたら冷蔵庫に入れる。 常温の棚ではなく、ワインと同じ場所に置きます。
- 早めに使いきる前提で買う。 一杯に使う量は10ml前後です。750mlの瓶を買うと75杯ぶんあり、家庭では使いきる前に変わってしまいます。375mlの小瓶があれば、まずそちらを選ぶほうが確実です。
- 残りは料理に回す。 白ワインの代わりとして、鶏や魚を蒸すとき、ソースを煮詰めるときに使えます。飲みきることを目的にしなくて構いません。
- 味が濁ってきたら替える。 香りが立たず、甘苦さだけが残るようになったら、それはベルモット側の合図です。
マティーニの味が思うようにならないとき、真っ先に疑う場所はベルモットの鮮度です。ジンを買い替える前に、ベルモットを新しくして同じ割合で作り直すと、原因の切り分けができます。
氷とステア|冷やすことと、薄まることの釣り合い
ステアは「混ぜる」作業に見えますが、実際にやっていることは冷やすことと、少しだけ薄めることの2つです。ジンとベルモットはどちらも澄んだ液体なので、混ぜるだけなら数回で終わります。20秒も回すのは、温度を下げるためです。
- 氷は大きく、多く。 小さい氷は表面積が大きいぶん早く溶け、冷える前に水が増えます。家庭の製氷機の氷なら、量でおぎないます。
- 霜のついた氷は水でさっと流す。 冷凍庫から出したての氷は表面に霜をかぶっています。この霜は真っ先に溶けて水になるので、流水を一瞬当ててから使います。
- 氷を鳴らさない。 氷どうしが激しくぶつかると角が削れ、削れた粒がそのまま溶け水になります。スプーンの背を内壁に沿わせ、氷を回転させるように動かします。
- ジンを冷凍庫で冷やしておく。 40%前後以上のジンは家庭の冷凍庫で凍りません。最初から冷えていれば、少ない回数で温度が下がり、そのぶん薄まりも少なくなります。開封後のジンの置き場所はジンの保存方法にまとめています。
加水は敵ではありません。まったく水が入らないと、度数の高いジンほど角が立ったままになります。目指すのは、しっかり冷えたところでちょうど少しだけ薄まっている状態で、だからこそ「器の外側が曇ったら止める」という目印が役に立ちます。氷が溶けることで度数がどう変わるかは、ジンのロックとストレートで計算しています。
ステアの回数がレシピによって20回から100回までばらつくのは、ジンの温度や氷の大きさで、同じ温度に届くまでの回数が変わるからです。回数を借りてくるより、「器の外側が曇ったら止める」を目印にするほうが毎回同じところに着地します。
ステアに自信がないときの作り置き
混ぜる加減が安定しないときは、ジンとベルモットを先に割合どおり瓶で混ぜ、冷凍庫に入れておく方法があります。5対1で合わせた液体は40%前後あるので凍らず、飲むときは冷やしたグラスに注ぐか、氷で数回だけ回せば済みます。イギリスのHayman’sも、公式サイトで自社のジンを「Freezer Martini」に向く一本として紹介しています。ベルモットはワインが土台なので、合わせたものは数日で飲みきれる量だけ作ります。
仕上げと、うまくいかないときの切り分け
添えるものは、オリーブかレモンピールのどちらかが基本です。役割がはっきり違います。
| 添えるもの | 加わるもの | 向く場面 |
|---|---|---|
| グリーンオリーブ | 塩気とわずかなコク | 食事の前後に飲むとき |
| レモンピール | 皮の油の香りだけ | ジンのボタニカルを立てたいとき |
| 両方入れない | 何も加えない | ジンそのものの輪郭を見たいとき |
オリーブは塩水に漬かっているので、沈めると液体にも塩気が移ります。味が変わるのを避けたいならレモンピールです。ピールは皮を細く削ぎ、グラスの上で外側を指で折って油を飛ばし、そのまま落とすか縁を拭って捨てます。オリーブの漬け汁を少し加えたものは「ダーティ」と呼ばれる別の配合になります。
ジンのボタニカルに柑橘が入っているならレモンピールが馴染み、ハーブや香辛料が前に出る構成ならオリーブの塩気が受け止める、という選び方もできます。どんな植物が使われているかはジンの原料と、各銘柄のデータ欄で確認できます。
オリーブは塩気が、レモンピールは皮の香りだけが加わります。(AIで生成したイメージです)
うまくいかないときは、原因がどこにあるかで直し方が変わります。
| 気になるところ | 主な原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 水っぽく、輪郭がない | 混ぜすぎ、氷が小さい | 20〜30秒で止める。氷を大きく、多く |
| 角が立って飲みにくい | ベルモットが少ない、冷え足りない | 3対1へ寄せる。器が曇るまで混ぜる |
| 甘苦さだけが残る | ベルモットが古い | 冷蔵保存の新しいものに替える |
| ぬるい | グラスを冷やしていない | 冷凍庫に10分、または氷水で共洗い |
| 白く濁る | シェイクした、混ぜすぎ | ステアにして、氷を鳴らさない |
材料が2つしかないので、一度に1か所だけ変えて作り直すと原因が特定できます。割合、ベルモットの新しさ、混ぜる時間の3つを順に動かすと、たいていはそのどれかに行き当たります。ジンそのものを選び直したくなったときはクラフトジンの選び方に軸を整理しています。
よくある質問
シェイクとステア、どちらが正しいですか?
透明な材料だけで作るマティーニは、ステアが基本です。シェイクすると空気を含んで白く濁り、氷が砕けるぶん薄まります。ただし「濁っていても、よく冷えてきりっとしたほうが好き」という選び方もあり、味の好みとしてシェイクを選ぶことは間違いではありません。見た目と口当たりが変わる、という違いとして扱うのが実際的です。
ベルモットなしで、ジンだけで作ってもいいですか?
ジンだけを氷で冷やして漉したものは、ベルモットが入っていないので厳密にはマティーニとは呼ばれません。飲み物としては成立しますし、冷やしたジンをそのまま味わう飲み方として一般的でもあります。ただしベルモットには角を丸める役割があるので、度数の高い銘柄ほど違いが出ます。ジン単体で飲む場合の温度と量の考え方はジンのロックとストレートにまとめています。
マティーニ向きのジンは、度数が高いほうがいいですか?
度数の高さは良し悪しの基準ではありません。マティーニはほとんど割らないので、ジンの度数がそのまま一杯の強さになるというだけです。47%のジンを使うなら、ベルモットを増やして3対1にすれば、40%のジンを5対1で作ったときと近い強さに揃います。強さを合わせる調整は割合の側でできるので、度数で銘柄を外す必要はありません。図譜では度数を全銘柄で同じ位置に載せているので、買う前に確かめられます。