ジンのコスパは一杯あたりで変わる|図譜26銘柄で、容量と度数を揃えて数える

ジンのコスパは、1本の値段だけでは比べられません。瓶の大きさも度数も銘柄ごとに違うためです。図譜に収録した110銘柄のうち、価格帯と容量の両方を公式サイトで確認できるのは38銘柄、そのうち容量が1つだけで計算が成り立つのは26銘柄でした。この26本を30mlの一杯に直すと、3,000円までの帯が129〜300円、3,000〜5,000円の帯が200〜303円で、2つの帯は重なります。帯が1つ下でも一杯は高い銘柄があるということです。さらに同じ強さの一杯に揃えると、生の30mlでは全部300円になる500mlの7本が281円から450円に分かれます。そして最も大きく動くのは飲み方で、同じ1本でもストレート中心とジントニック中心では一杯あたりが3倍以上変わります。
「ジン コスパ」で探すと、安い順に並んだ一覧か、順位のついた銘柄の紹介に行き当たります。ただ、そこに並んでいるのは1本の値段で、瓶の大きさも度数もばらばらのままです。この記事では銘柄を並べる代わりに、コスパを一杯あたりに直して数える手順を、図譜の公式記載から組み立てます。結論を先に置くと、一杯あたりに直した時点で帯の順番は崩れ、いちばん大きく効いたのは飲み方でした。
計算できるのは110銘柄中26本|まず母数を確かめる
杜松の図譜では、国産クラフトジン79銘柄・大手国産3銘柄・海外の定番28銘柄の計110銘柄について、公式サイトに書かれていることだけをデータ欄に載せています。価格は1円単位ではなく帯で持っています。値段は容量と販売店、時期で動くためです。
一杯あたりを出すには、価格帯と容量の両方が要ります。両方が揃う銘柄を数えると、こうなりました(2026年9月時点)。
| 条件 | 銘柄数 |
|---|---|
| 図譜の収録数 | 110本 |
| 公式に容量の記載がある | 65本 |
| 公式に価格帯の記載がある | 40本 |
| 価格帯と容量の両方がある | 38本 |
| そのうち容量が1つだけ | 26本 |
一杯あたりを計算できるのは26本です。38本から12本減るのは、複数の容量を併売している銘柄では、公式サイトが示している価格帯がどの容量のものか特定できないためです。小さい瓶の価格で帯が決まっている銘柄を700mlのつもりで計算すると、実際よりかなり安く出ます。この食い違いの中身はジンの「高級」は何で決まるのかで分解しました。
もうひとつ、26本はすべて国産クラフトジンです。海外の定番28銘柄と大手国産3銘柄には、公式サイトに価格の記載が1本もありません。名前が挙がりやすい銘柄ほど、公式からは一杯あたりを出せないということになります。
一杯あたりに直す|わり算ひとつで揃う
同じ値段でも、瓶の大きさが変われば取れる杯数が変わります。(AIで生成したイメージです)
計算はわり算ひとつです。
一杯あたり = 価格 ÷(容量 ÷ 一杯に使う量)
ロックの標準的な量である30mlで、帯の両端を入れて計算すると次のようになります。ここで出るのは実際の販売価格ではなく、銘柄どうしを同じ条件で並べるための計算値です。
| 価格帯 | 700ml | 500ml | 300ml |
|---|---|---|---|
| 〜3,000円 | 129円まで | 180円まで | 300円まで |
| 3,000〜5,000円 | 129〜214円 | 180〜300円 | 300〜500円 |
| 5,000〜8,000円 | 214〜343円 | 300〜480円 | 500〜800円 |
同じ帯の中で、700mlと500mlでは一杯あたりが1.4倍違います。3,000〜5,000円の帯なら、700mlは129〜214円、500mlは180〜300円。値札が同じでも、グラスに注ぐ側から見た負担は揃いません。
26本が実際にどのマス目にいるのかを数えると、こうなりました。
| 価格帯 | 700ml以上 | 500ml前後 | 300ml |
|---|---|---|---|
| 〜3,000円(3本) | 2本 | 0本 | 1本 |
| 3,000〜5,000円(17本) | 9本 | 8本 | 0本 |
| 5,000〜8,000円(6本) | 2本 | 4本 | 0本 |
上の帯ほど500mlに寄っています。5,000〜8,000円の6本のうち4本が500mlで、700ml以上は2本だけです。帯を上げると、値段と瓶の小ささが同時に効いてくる並びになっています。
安い帯を選んでも、一杯が安くなるとは限らない
26本を、帯の上の端でそろえて30mlの一杯に直しました。上の端で計算するのは、いちばん高く見積もった場合を並べるためです。
| 価格帯 | 本数 | 一杯(30ml)の計算値 |
|---|---|---|
| 〜3,000円 | 3本 | 129〜300円 |
| 3,000〜5,000円 | 17本 | 200〜303円 |
| 5,000〜8,000円 | 6本 | 320〜480円 |
下の2つの帯は、一杯あたりで重なっています。3,000〜5,000円の17本のうち16本は、3,000円までの帯の上端である300円と同じか、それより下に収まりました。
具体的に並べると、逆転がはっきりします。〜3,000円の帯にいる清庵-SEIAN-(岩手県・300ml)は、帯の上端で計算すると一杯300円。一方、3,000〜5,000円の帯にいる700ml以上の9本、たとえばマキノジン(高知県・700ml)やJin40-ASAKURA CRAFT GIN(福岡県・750ml)は200〜214円です。値段の帯がひとつ下でも、一杯あたりでは高くなるということです。
いちばん下に来たのは、〜3,000円の帯で700mlを出しているOGIGIN 想 オリジナル(佐賀県・45.0%)と東経135度兵庫ドライジン(兵庫県・42.0%)の129円でした。ただし、この帯で容量が1つだけの銘柄は3本しかありません。母数が小さいので、帯の傾向としては読まないほうが確実です。読み取れるのは、「安い帯を選ぶ」ことと「一杯を安くする」ことが同じ操作ではない、という一点です。
度数を揃えると、順番がもう一度入れ替わる
同じ強さの一杯にするなら、度数が高いほど使う量は少なくて済みます。(AIで生成したイメージです)
ここまでは、どの銘柄も同じ30mlを注ぐ前提で計算しました。ただ実際には、度数が違えば注ぐ量も変わります。ジントニックの作り方で整理したとおり、割合は40%台前半なら1対3、45%以上なら1対4、48〜50%なら1対5と、銘柄に合わせて動かすのが実際的です。同じ強さの一杯を作るなら、度数が高いジンは少ない量で足ります。
45%のジンを30ml使ったときと同じ量のアルコールに揃えると、必要な量はこうなります。
| 度数 | 同じ強さに要る量 | 45%・30mlとの比 |
|---|---|---|
| 40.0% | 33.8ml | 1.13倍 |
| 42.0% | 32.1ml | 1.07倍 |
| 45.0% | 30.0ml | 1.00倍 |
| 47.0% | 28.7ml | 0.96倍 |
| 48.0% | 28.1ml | 0.94倍 |
差は1割ほどですが、この1割が一杯あたりに乗ります。分かりやすいのが、500mlで3,000〜5,000円の帯にいる7本です。生の30mlで数えると、この7本はすべて300円で並びます。度数の記載がある6本を同じ強さに揃え直すと、こう分かれました。
| 銘柄 | 度数 | 同じ強さに要る量 | 一杯の計算値 |
|---|---|---|---|
| ORI-GiN 1848(沖縄県) | 48.0% | 28.1ml | 281円 |
| AKATOKI ORIGIN(北海道) | 47.0% | 28.7ml | 287円 |
| 雪の窓 ドライジン(北海道) | 45.0% | 30.0ml | 300円 |
| AKITA CRAFT GIN 岑 №65(秋田県) | 42.0% | 32.1ml | 321円 |
| 夕凪GIN(香川県) | 40.0% | 33.8ml | 338円 |
| SANABURI Prototype_01 山椒スピリッツ(秋田県) | 30.0% | 45.0ml | 450円 |
同じ帯で同じ容量の6本が、281円から450円まで開きます。度数が30.0%の1本は同じ強さに45mlが要るので、一杯あたりは5,000〜8,000円の帯(320〜480円)と同じ範囲に入ります。図譜に度数の記載がある71銘柄では45%以上が50本を占めるので、多くの銘柄はこの表の中ほどに集まりますが、40%台前半を選ぶなら注ぐ量が増えることは計算に入れておけます。度数そのものの分布と、37.5%という線引きの出どころはジンの度数にまとめました。
ひとつ補足すると、これは強さを揃えたときの量の話であって、どちらの度数が良いかという話ではありません。度数の違いは香りの出方や割り材との釣り合いにも関わるので、一杯あたりの数字だけで決める必要はありません。
飲み方のほうが、容量や度数より大きく効く
ここまでの2つの要素より、はっきり大きく動くのが飲み方です。1本から取れる杯数が、注ぐ量でそのまま変わるためです。5,000円の1本を例に、飲み方ごとに並べました。
| 飲み方 | 一杯の量 | 700mlで取れる杯数 | 一杯の計算値 | 500mlで取れる杯数 | 一杯の計算値 |
|---|---|---|---|---|---|
| ストレート | 20ml | 35杯 | 143円 | 25杯 | 200円 |
| ロック | 30ml | 23杯 | 214円 | 16杯 | 300円 |
| ジントニック | 45ml | 15杯 | 321円 | 11杯 | 450円 |
同じ1本でも、143円から450円まで3倍以上開きます。価格帯を1つ下げるより、容量を700mlに揃えるより、注ぐ量の違いのほうが効いているということです。ロックとストレートの量と器の考え方はジンのロックとストレートに、飲み方ごとの組み立てはジンの飲み方に置いています。
ただし、一杯の費用はジンだけでできてはいません。ジントニックならトニックウォーター、ソーダ割りなら炭酸水が、液体の4分の3ほどを占めます。カクテルにすれば、さらに他の材料が乗ります。つまり割って飲むほど、一杯に占めるジンの割合は下がるということでもあります。ジン1に対してトニック3〜4の割合なら、ジンの値段の差が一杯に届く度合いは、そのぶん薄まります。
逆に、そのまま飲むことが多いなら、ジンの値段がほぼそのまま一杯の値段になります。どちらの飲み方が多いかで、銘柄選びに値段をどれだけ効かせるかも変わります。
飲みきれなければ、計算は成立しない
ここまでの計算は、すべて1本を最後まで使いきる前提に立っています。途中で置いたままになれば、一杯あたりは計算値より上がります。
700mlを週に1杯のペースで使うと、ジントニック(45ml)なら15杯で約3か月半、ロック(30ml)なら23杯で約5か月です。500mlならそれぞれ11杯と16杯になります。「安い1本」を選ぶより、自分の飲むペースに容量を合わせるほうが、計算値との差は小さくなります。開けたあとの置き場所と扱いはジンの保存にまとめました。
途中で止まりそうなら、小さい瓶から入る手もあります。図譜で50〜200mlの容量を確認できるのは17銘柄で、すべてフルボトルと併売です。小さい瓶は一杯あたりの計算値では高く出ますが、残さずに使いきれるなら、大きい瓶を持て余した場合より一杯あたりは下がります。どの銘柄でどの容量が選べるかはジンのミニボトルに一覧があります。
贈り物として選ぶ場合は、一杯あたりの計算がそのまま相手には当てはまりません。飲むペースが分からないためです。その場合の絞り方はジンのプレゼントに分けて書きました。容量と価格帯を含む4つの軸の順番はクラフトジンの選び方にあります。
お酒は20歳になってから。20歳未満の方への贈り物には選べません。
よくある質問
コスパの良いジンはどれですか?
杜松では順位をつけないので、銘柄を挙げる代わりに計算のしかたを置いています。一杯あたり=価格 ÷(容量 ÷ 一杯に使う量)です。図譜に収録した110銘柄のうち、価格帯と容量の両方が公式にあり、容量が1つだけで計算が成り立つのは26銘柄でした。その26本を30mlの一杯に直すと129円から480円に分かれます。値段の帯だけを見て並べた順番とは一致しません。
安いジンを選べば、一杯も安くなりますか?
そうならないことがあります。26銘柄で計算すると、3,000円までの帯が一杯129〜300円、3,000〜5,000円の帯が200〜303円で、2つの帯は重なりました。3,000〜5,000円の17本のうち16本は、3,000円までの帯の上端である300円以下に収まっています。瓶が小さい銘柄は、値段が下の帯にいても一杯あたりでは上がるためです。
度数が高いジンのほうがコスパは良いのですか?
同じ強さの一杯を作る前提なら、使う量は少なくて済みます。45%のジン30mlと同じ量のアルコールに揃えると、47%なら28.7ml、48%なら28.1ml、40%なら33.8mlです。500mlで3,000〜5,000円の帯にいる7本は、生の30mlではすべて一杯300円で並びますが、揃え直すと281円から450円に分かれました。ただしこれは量の計算で、度数の高さがそのまま良し悪しを決めるわけではありません。
700mlと500mlでは、どちらが一杯あたり安くなりますか?
同じ価格帯なら700mlです。3,000〜5,000円の帯で30mlの一杯を計算すると、700mlは129〜214円、500mlは180〜300円で、1.4倍の差が出ます。ただし図譜の26銘柄では、5,000〜8,000円の帯の6本のうち4本が500mlで、上の帯ほど瓶が小さくなる並びでした。値札だけでなく、瓶に書かれた容量も一緒に見ると比べる対象が揃います。
割り材の費用は計算に入れなくていいのですか?
割って飲むなら入ります。ジントニックはジン1に対してトニックウォーター3〜4の割合なので、液体の4分の3ほどは割り材です。そのぶん、ジンの値段の差が一杯に届く度合いは薄まります。逆にストレートやロックが中心なら、ジンの値段がほぼそのまま一杯に乗ります。どちらが多いかで、銘柄選びに値段をどれだけ効かせるかも変わります。