飲み方

ジンフィズの作り方|分量と6つの手順、シェイカーなしで作る方法も

ジュニパーの実と針葉の枝、レモンの果実・半割り・輪切り・削いだ皮・葉と花を部位ごとに描いた図譜の手前に、角氷を詰めた背の高いタンブラー、金属のシェイカー、メジャーカップ、角砂糖の小皿とバースプーン、ラベル無地の炭酸水の瓶を並べたイメージ
AIで生成したイメージです
この記事の結論

ジンフィズは、ジン45ml・レモン果汁20ml・シュガーシロップ10mlをシェイクし、氷を入れたグラスに注いで炭酸水で満たす一杯です。ジンのカクテルの中で、甘みの量を自分で決めるものはこれとギムレットしかありません。だから砂糖の形(グラニュー糖かシロップか)と量が、そのまま仕上がりを動かします。完成した一杯は45%のジンで約11%。シェイクで2〜3割の水が加わるぶん、振らずに作るより1ポイントほど下がります。シェイカーが無くても、蓋の締まる保存瓶で振るか、砂糖を先に溶かしてグラスの中で組み立てるかの2通りで作れます。

ジンフィズは、ジン・レモン果汁・砂糖をシェイカーで振り、氷を入れたグラスに注いで、炭酸水で満たすだけで作れます。一杯ぶんの分量の目安は次のとおりです。

材料一杯ぶん比率で覚えると
ジン45ml4.5
レモン果汁20ml(レモン約1/2個)2
砂糖小さじ2(シュガーシロップなら10ml)1
炭酸水(無糖)85〜105ml(グラスを満たすぶん)好みで

振るのは15秒ほど、炭酸水を注いだら縦に一回だけ混ぜて仕上げます。ジン・レモン・甘みをおおよそ4.5対2対1と覚えておくと、グラスの大きさや人数が変わっても組み直せます。

ジンのカクテルの中では珍しく、甘みの量を自分で決める飲み物です。トニックウォーターやジンジャーエールのように割り材が糖分を持っているわけではないので、どれだけ入れるかを毎回自分で選ぶことになります。ここでは先に道具と6つの手順、シェイカーがないときの作り方を示し、そのあとに甘さと濃さの調整、材料の代用、まとめて作るときの分量、完成した一杯の度数、アレンジの順で続けます。ジンそのものの成り立ちはクラフトジンとはにあります。

作り方|道具をそろえて6つの手順で

そろえる道具と計量

材料は上の表の4つと氷だけです。道具はシェイカーとメジャーカップがあれば足り、どちらも家にあるもので代わりが利きます。

  • シェイカー → 蓋の締まる保存瓶でも振れます(この章の最後に手順があります)
  • メジャーカップ → 大さじ・小さじで量れます。大さじが15ml、小さじが5mlなので、大さじ3杯で45ml、大さじ1杯と小さじ1杯で20mlです
  • グラス → 250ml前後のタンブラー。シェイクした液を注いだあと炭酸水で満たす余地が要るので、ジンソーダで使う300mlより一回り小さいほうが収まります。大きいグラスしかなければ氷を多めに詰めます

炭酸水は無糖のものを選びます。フレーバー付きや微糖のものを使うと、自分で決めたはずの甘さがそこで動いてしまいます。ジンは、ボタニカルの香りをまっすぐ立てる辛口の「ドライジン」が標準です。種類の分け方はジンの種類にまとめています。

6つの手順

片手でシェイカーの本体を支え、もう一方の手がメジャーカップから液体を注いでいる手元。シェイカーの中には角氷と溶かした甘みとレモン果汁が入り、かたわらに半分に切ったレモン、角砂糖を入れた金属の小皿、バースプーン、角氷を詰めた背の高いタンブラーを置いた図譜風のイメージ 材料はメジャーカップで量って入れます。砂糖はレモン果汁で先に溶かしておきます。(AIで生成したイメージです)

  1. グラスと炭酸水を冷やす。 グラスは冷凍庫に5分ほど入れるか、氷と水を入れて回して水だけ捨てます。炭酸水は冷蔵庫でよく冷やしておきます。炭酸は液体が冷たいほど溶けたままでいるので、ここが抜けにくさの土台です。
  2. シェイカーに砂糖とレモン果汁を入れ、先に溶かす。 氷もジンも入れる前です。グラニュー糖を使うときは、ここで完全に溶けるまで混ぜます。シュガーシロップならそのまま次へ進めます。
  3. ジン45mlを加える。 メジャーカップで量ります。手元の銘柄が45%を超えるなら、ここを30〜40mlに下げる選択肢もあります(理由は後述します)。
  4. 氷を入れて15秒ほど振る。 氷はシェイカーの八分目まで。振るのは、混ぜるためだけでなく冷やしながら水を加えるためでもあります。外側にうっすら霜がつけば十分です。
  5. 氷を入れたグラスに注ぐ。 グラスの氷は口の少し下まで。シェイカーの中の氷は入れずに、液体だけを注ぎます。
  6. 炭酸水で満たし、縦に一回だけ混ぜる。 グラスを傾け、氷に当てず内壁を伝わせて静かに注ぎます。バースプーンを氷とグラスの隙間から底まで下ろし、ゆっくり一回持ち上げて引き上げます。

効くのは2と6です。2を飛ばすと砂糖がグラスの底に残り、最後の一口だけ甘い一杯になります。6で混ぜすぎると、せっかく入れた炭酸が抜けます。炭酸を守る注ぎ方そのものはジンソーダの作り方とジントニックの作り方に詳しくまとめてあるので、ここでは要点だけにとどめます。

砂糖は「溶かしてから」振る

レシピによって「シュガーシロップ10ml」と「砂糖小さじ1〜2」の両方の書き方が出てくるのは、どちらでも作れるからです。ただし扱いが違います。

甘みの形溶け方液量への影響向いている場面
シュガーシロップすぐ混ざる入れたぶんだけ増える同じ味を再現したいとき
ガムシロップすぐ混ざる同上家にあるもので済ませたいとき
グラニュー糖冷たい液体には溶けにくいほとんど増えない甘さを控えめにしたいとき

グラニュー糖が冷たい液体に溶けにくいのは、温度が低いほど水に溶ける量が減るためです。氷とジンを入れたあとに振っても、粒のまま底に残ります。だからレモン果汁と先に合わせて溶かしきるのが手順2の意味です。レモン果汁20mlは砂糖小さじ2杯を溶かすには十分な量があります。

液量が変わるぶん、完成の度数もわずかに動きます。シロップ10mlを入れると一杯の液量が10ml増えるので、グラニュー糖で作ったときより0.6ポイントほど低く出ます。どちらが正しいということはなく、同じ味を毎回作りたいならシロップ、甘さを絞りたいならグラニュー糖という選び分けになります。

甘みの量そのものは、5ml・10ml・15mlの3段階で試すと自分の位置が決まります。10mlが標準、5mlにするとレモンの酸が前に出てジンリッキー寄りの輪郭になり、15mlにすると炭酸で割ったレモネードに近づきます。

レモンは20mlから始める

レモン果汁は15〜20mlの幅でレシピが分かれます。まず20mlで作り、酸が強いと感じたら15mlに下げるのが分かりやすい進め方です。砂糖と違って、レモンは減らしても後から足せます。

生のレモンから搾れる果汁は大きさでかなり変わります。中くらいのもの半分で、おおよそ15〜20mlが目安です。搾る前に手のひらで転がして繊維をほぐしておくと軽い力で搾れます。強く握り込まないでください。白いワタまで搾ると、果汁と一緒に苦い成分が出ます。

市販のレモン果汁でも作れます。量が決まっているぶん、むしろ同じ味を再現しやすくなります。生の果実と違うのは皮の香りが入らない点なので、気になるときは削いだ皮をひとかけグラスに落とすと近い形になります。

シェイカーがないとき|保存瓶で振るか、グラスで組み立てる

ジンフィズがジンリッキーやジンソーダより一段面倒に見えるのは、シェイカーが要ることが理由のほとんどです。ただ、道具がなくても2通りの作り方があります。

1つめは、蓋の締まる保存瓶で振る方法です。 ジャム瓶や密閉容器に材料と氷を入れ、15秒ほど振り、茶こしで氷を漉しながらグラスに注ぎます。やっていることはシェイカーと同じなので、仕上がりもほぼ同じになります。注意点はひとつだけで、ガラス瓶は急な温度差に弱いため、洗った直後の温かい瓶にいきなり氷を入れるのは避けてください。

2つめは、振らずにグラスの中で組み立てる方法です。 手順は次のように変わります。

  1. グラスに砂糖とレモン果汁を入れ、完全に溶けるまで混ぜる
  2. ジンを注ぎ、ここで一度だけ混ぜる
  3. 氷を口の少し下まで詰める
  4. 炭酸水を内壁から注ぎ、縦に一回だけ混ぜる

材料が混ざりきるかどうかは1の段階で決まるので、ここだけ手を抜かなければ成立します。ジンのカクテル一覧で言う「ビルド」の型に組み替えたものです。

振る方法と振らない方法で、はっきり違うのは次の2点です。

保存瓶で振るグラスの中で組み立てる
冷え方振っている間に一気に下がる氷に触れている時間ぶんだけ
加わる水2〜3割ぶん入るほとんど入らない
完成の度数計算どおり1ポイントほど高く出る
口当たり細かい泡が混ざる炭酸の粒が立つ

振らない場合、思ったより強い一杯になることは知っておいたほうが扱いやすくなります。これはシェイクが「混ぜる工程」であると同時に「水で薄める工程」でもあるからで、後半の「完成した一杯は何%になるか」で数字にしています。振らずに作るなら、炭酸水を20mlほど多めにすると釣り合いが戻ります。

ジンフィズとは|甘みを自分で決める、フィズの型

「フィズ」は、蒸留酒やリキュールに酸味と甘みを足して振り、炭酸水で満たす組み立ての呼び名です。ベースがジンならジンフィズ、ウイスキーならウイスキーフィズ、と名前が変わります。名前そのものが炭酸のはじける音から来ているとされ、炭酸で満たして仕上げるところまでが型に含まれます。

この型の特徴は、材料の役割が3つにきれいに分かれていることです。

材料役割量を決めるのは
ジン香りと強さレシピ(45mlが標準)
レモン果汁酸味レシピ(15〜20ml)
砂糖・シロップ甘み自分
炭酸水量とのど越しグラスの大きさ

ジンのカクテルを一通り並べてみると、この「甘みを自分で足す」やり方をするものは実は多くありません。ジンのカクテル一覧の9杯のうち、砂糖そのものを量って入れるのはジンフィズとギムレットの2つだけです。ジンリッキーは甘みを一切足さず、ジントニックやジンバックは割り材にもともと入っている糖分がその役をします。

つまりジンフィズは、他の飲み方では割り材が勝手に決めていた甘さを、自分で決め直せる一杯です。同じレモンと炭酸水の組み合わせでも、砂糖を5mlにするか15mlにするかでまったく別の輪郭になります。レシピの数字をそのまま使う前に、ここが自分で動かせる変数だと知っておくと、二杯目からの直し方が分かります。

甘さと濃さを好みに寄せる

レシピの数字で一杯作ったら、次は自分の位置に寄せていきます。ジンフィズで動かせるのは、甘み・酸味・強さの3つです。それぞれ別の材料が受け持っているので、直したいものに対応する材料だけを動かすと迷いません。

こうしたい動かす材料目安
甘くしたい砂糖・シロップ10ml → 15ml(砂糖なら小さじ3)
すっきりさせたい砂糖・シロップ10ml → 5ml(砂糖なら小さじ1)
酸味を立てたいレモン果汁15ml → 20ml
酸味をやわらげたいレモン果汁20ml → 15ml
軽くしたい炭酸水(またはジン)炭酸水を+20〜40ml、またはジンを35mlへ
しっかりさせたい炭酸水炭酸水を85mlまで減らす

甘さは砂糖とレモンの比率で決まり、濃さはジンと全体の液量の比率で決まります。軽くしたいからといって砂糖やレモンを減らすと、甘さと酸味の釣り合いまで崩れて薄いだけの一杯になります。軽さは炭酸水かジンの側で調整し、甘さは砂糖とレモンの側で調整する、と分けて考えてください。強さを数字で見たいときは、後半の「完成した一杯は何%になるか」の早見表が使えます。

材料がそろわないときの代用

ジンフィズは材料が少ないぶん、ひとつ欠けると作れないように見えます。ただ、レモンと砂糖は家にあるもので置き換えられます。置き換えると仕上がりがどう変わるかを先に知っておくと、選びやすくなります。

足りないもの代わりに使えるもの量の目安と変わるところ
生のレモン市販のレモン果汁同量の20ml。量が一定なので再現しやすい。皮の香りは入らない
レモンそのものライム果汁同量でよい。酸の立ち方が変わり、ジンリッキーに近い方向へ寄る
レモンそのもの柚子・すだち・かぼすの果汁果汁が少ない果実なので複数個を搾る。香りの方向が和の柑橘に寄る
シュガーシロップグラニュー糖・上白糖小さじ2。レモン果汁で先に溶かしてから振る
シュガーシロップガムシロップ(ポーションタイプ)1個がおおよそ10ml前後。表示の量を確かめて合わせる
シュガーシロップはちみつ小さじ1から。冷たいと溶けにくいので、少量のぬるま湯でのばしてから加える。はちみつの香りが乗る
炭酸水—代用は利かない。トニックウォーターやジンジャーエールに替えると甘みが二重になり、別の一杯になる

上白糖でも作れますが、グラニュー糖より溶けやすいぶん扱いはむしろ楽です。黒糖やきび糖は溶けますが、色と風味がそのまま一杯に出ます。

炭酸水だけは置き換えないのが前提です。甘い割り材を使うと、この一杯の核である「甘みを自分で決める」部分が割り材に移ってしまいます。甘い割り材で作りたいときは、最初からそのための飲み方を選ぶほうが筋が通ります。トニックならジントニック、ジンジャーエールならジンバックです。

ほかのジンのカクテルと並べて見る材料・道具・完成した一杯の度数を、9杯ぶん同じ表に並べています。
ジンのカクテル一覧 →

2杯以上をまとめて作るとき

人数ぶんを作るときは、ジン・レモン・甘みの3つを人数倍にして、炭酸水だけはグラスごとに注ぎます。

杯数ジンレモン果汁シュガーシロップ(砂糖)炭酸水
1杯45ml20ml10ml(小さじ2)1杯ずつ注ぐ
2杯90ml40ml20ml(小さじ4)1杯ずつ注ぐ
4杯180ml80ml40ml(大さじ2と小さじ2)1杯ずつ注ぐ

家庭用のシェイカーは容量が小さいものが多く、氷を入れて振れるのは2杯ぶんまでが無理のない範囲です。4杯ぶんなら2回に分けて振ります。一度に詰め込むと氷との接触が減り、冷え方と加わる水の量が1杯ずつ作ったときと揃わなくなります。

前もって準備しておけるのは、ジン・レモン果汁・甘みを合わせた液体だけです。砂糖を溶かしきってから冷蔵庫で冷やしておき、飲む直前に氷と振って、グラスに注いでから炭酸水で満たします。炭酸水まで入れた状態での作り置きはできません。炭酸は時間とともに抜け、氷は溶け続けるためです。合わせた液体は時間がたつとレモンの香りが落ちるので、その日のうちに使い切ってください。

完成した一杯は何%になるか

度数は、材料に含まれるアルコールの量 ÷ 液体の合計の量で出せます。レモン果汁にもシロップにも炭酸水にもアルコールは入っていないので、分子はジンのぶんだけです。ジン45mlが45%なら、含まれるアルコールは45 × 0.45 = 20.25ml。

ジンフィズで見落としやすいのは、シェイクで加わる水が液量に入ることです。氷と一緒に15秒振ると、材料の2〜3割にあたる水が加わります。ジン45ml・レモン20ml・シロップ10mlの75mlを振ると、シェイカーから出てくるのはおよそ95mlです。この20mlぶんを勘定に入れないと、計算と実際がずれます。

まず炭酸水の量で比べます(45%のジンを使い、シェイクの加水20mlを含めた計算値です)。

炭酸水の量一杯の液量完成の度数
60ml155ml約13.1%
85ml180ml約11.3%
105ml200ml約10.1%
135ml230ml約8.8%

250mlのグラスに氷を詰めると、液体の入る余地は170〜190mlほどです。ジン45mlで組み立てると、グラスを満たした一杯はおおむね11%前後に収まります。振らずに作った場合は液量が20ml少ないので、同じ見た目で約12.7%になります。

次に、同じ180mlの一杯をジンの度数別に見たものです。

手持ちのジンの度数完成の度数(液量180ml)40%のときとの差
40%約10.0%—
43%約10.8%+0.8
45%約11.3%+1.3
47%約11.8%+1.8
50%約12.5%+2.5

いずれもグラスの氷が溶けて加わるぶんは含んでいません。飲み終わるころにはこれより下がります。

ここで効いてくるのが手持ちの銘柄の度数です。**この図譜に収録した110銘柄のうち、公式サイトで度数を確認できた71銘柄では、45%以上が50銘柄(うち47%以上が25銘柄、50%以上が4銘柄)、中央値は45.0%**でした。国産クラフトに絞ると、度数の記載がある56銘柄のうち44銘柄が45%以上です。一方、海外の定番ジンは度数の記載がある12銘柄の中央値が42.0%でした。

カクテルブックのジン45mlという分量は、40%台前半のジンを前提にしているものが少なくありません。国産クラフトジンをそのまま当てはめると、想定より一段強い一杯になります。ジンフィズには合わせ方が3通りあります。

  • 炭酸水を増やす — 液量を200mlまで持っていくと、47%のジンでも約10.6%に収まります。グラスを大きくするだけで済みます
  • ジンを減らす — ジン35ml・レモン20ml・シロップ10ml・加水17ml・炭酸水100mlの液量182mlにすると、47%のジンで約9.0%です。レモンと砂糖の比率は変わりません
  • 砂糖を減らさない — 度数を下げるときに甘みまで一緒に削ると、薄いだけの一杯になります。動かすのはジンか炭酸水の側にしてください

度数の分布と、37.5%という線引きの出どころはジンの度数にまとめました。銘柄ごとの度数は図譜のデータ欄に公式サイトの記載どおり載せています。

どのジンで作るか

レモンの枝についた実と花と葉、丸ごとの果実、半分に切った断面、くし切り、輪切り、種、らせん状に削いだ皮を部位ごとに離して並べ、右下にシロップを入れた小さなガラスの器と角砂糖を添えた図譜風のイメージ 足すのはレモンと砂糖の2つ。銘柄の素材と方向を揃えるか、対比にするかで選び方が変わります。(AIで生成したイメージです)

ジンは植物の香りを移した酒なので、足すレモンと素材が重なる銘柄もあれば、対比になる銘柄もあります。公式サイトにボタニカルの記載がある87銘柄(うち国産クラフト63銘柄)のうち、レモンそのものを使うと明記しているのは28銘柄でした。柚子・ライム・橙などを含めた柑橘の果実や皮まで広げると52銘柄です(2026年9月時点)。柑橘を使う銘柄は足すレモンと方向が揃い、茶葉や香辛料を主にした銘柄は対比になります。

ただしジンフィズでは、銘柄の差が出にくいことも押さえておくほうが親切です。レモンの酸と砂糖の甘みが味の大半を占めるので、ジンの香りは背景に回ります。銘柄そのものの輪郭を確かめたいときは、割り材が味を持たないジンソーダやジンリッキーのほうが向きます。逆に言えば、香りの強い銘柄や度数の高い銘柄を扱いやすくする飲み方がジンフィズです。

作り手の側からの手がかりも見ておきます。公式サイトが飲み方を挙げている44銘柄を数えると、トニックで割る飲み方を挙げているのが31銘柄、炭酸水やソーダ割りを挙げているのが20銘柄に対して、フィズの名前を出している銘柄は1つもありませんでした(表記のゆれを含めた数え方です)。作り手から分量の指定が出ている飲み方ではない、ということです。裏を返せば、レモンと砂糖の量は自分で決める余地が大きい一杯だと言えます。

どんな植物が使われているかはジンの原料とボタニカルに、銘柄ごとの構成は図譜のデータ欄に同じ順で並べてあります。銘柄そのものを選び直したくなったときはクラフトジンの選び方に軸を整理しています。

柑橘を替えたアレンジ

ジンフィズの組み立てはそのままに、レモン果汁を別の果汁に替えると、名前の付いた一杯や家で試しやすいアレンジになります。甘みの量は果汁の甘さに合わせて動かします。

替えるものできる一杯甘みの目安
レモン果汁 → オレンジ果汁テキサスフィズオレンジ自体が甘いので、シロップは5mlから
レモン果汁 → ライム果汁ライムで作るジンフィズ10mlのまま
レモン果汁の半分 → グレープフルーツ果汁ほろ苦い方向のジンフィズ10mlのまま、苦みが気になれば15mlへ
レモン果汁 → 柚子・すだち果汁和の柑橘で作るジンフィズ10mlのまま

和の柑橘で作る場合は、柚子や山椒など国産の素材をボタニカルに使う銘柄と組み合わせると方向が揃います。どの銘柄が何を使っているかはジンの原料とボタニカルと図譜のデータ欄で確かめられます。

フィズの仲間と、よく似た一杯との違い

フィズには派生した名前がいくつもあります。違いは、ほとんどが卵を加えるかどうかです。

名前ジンフィズとの違い
シルバーフィズ卵白を加える
ゴールデンフィズ卵黄を加える
ロイヤルフィズ卵を丸ごと加える
ラモスジンフィズ卵白に生クリームなどを合わせ、長く振る
トム・コリンズ材料はほぼ同じ。炭酸水が多く、背の高いグラスで作る

卵を使うものは、材料も振り方も手順が別物になります。ここでは名前の整理までにとどめ、まずは卵の入らない基本形で分量を決めるのが順序としては早道です。

トム・コリンズだけは卵が入らず、ジンフィズとかなり近い位置にあります。炭酸水の量とグラスの大きさが主な違いで、ジンフィズは中くらいのグラスで濃いめ、トム・コリンズは背の高いグラスで薄め、という分かれ方をします。上の度数表で言えば、ジンフィズが155〜180ml、トム・コリンズが230ml前後の欄に当たると考えると分かりやすくなります。

炭酸で割るジンのカクテル全体の中では、次の位置になります。

名前割り材足す柑橘甘み完成の度数(45%のジン)
ジンフィズ炭酸水レモン果汁20ml砂糖(自分で決める)約11%
ジンリッキー炭酸水ライム(搾って落とす)なし約11〜13%
ジンソーダ炭酸水なしなし約11%(1対3)
ジントニックトニックウォーターライム割り材の糖分約9〜11%
ジンバックジンジャーエールレモン果汁割り材の糖分約11%

度数はどれも似た帯に収まります。分かれるのは甘みを誰が決めるかです。ジンソーダとジンリッキーは甘みなし、ジントニックとジンバックは割り材まかせ、ジンフィズだけが自分で決めます。同じジンでこの5杯を作ってみると、割り材と甘みがそれぞれ何をしているかが見えてきます。割り材ごとの役割と比率の考え方はジンの割り方に整理してあります。割らずに温度だけで楽しむ側はジンのロックとストレートに、ジンが主役になるショートの側はマティーニの作り方にまとめました。

うまくいかないときの見直し

材料が4つしかないので、気になった点から原因をたどれます。

気になるところ主な原因直し方
最後の一口だけ甘い砂糖が溶けきっていないレモン果汁と先に合わせて溶かす。またはシロップに替える
全体に甘いシロップが多い、炭酸水が少ないシロップを5mlへ。レモンを20mlに戻す
酸がとがるレモンが多い、甘みが足りないレモンを15mlへ。砂糖を先に動かさない
水っぽい、味が薄い振りすぎ、氷が少ない、炭酸水が多い振るのは15秒まで。炭酸水を85mlに戻す
炭酸がすぐ抜ける常温の炭酸水、氷に当てて注いだ、混ぜすぎよく冷やして内壁から注ぐ。混ぜるのは一回転まで
強く感じるジンの度数が高い、振っていない炭酸水を増やして液量200mlへ、またはジンを35mlへ
ジンの香りが出ないレモンと砂糖が多い一度ジンソーダで銘柄の輪郭を確かめてから比率を決める

直すときは、一度に1か所だけ変えて作り直すのが早道です。ジンフィズは動かせる変数がジン・レモン・砂糖・炭酸水の4つあるので、まとめて変えると何が効いたか分からなくなります。順番としては砂糖 → レモン → 炭酸水の順に動かすと収まりやすくなります。

よくある質問

ジンフィズの黄金比はありますか?

決まった黄金比はありませんが、ジン45ml・レモン果汁20ml・シュガーシロップ10mlという分量が広く使われています。比率にすると、ジン・レモン・甘みがおおよそ4.5対2対1です。この比率を保ったまま全体を増減させればグラスの大きさや人数に合わせられ、甘さを変えたいときは甘みだけ、酸味を変えたいときはレモンだけを動かします。炭酸水はグラスを満たすぶんで、85〜105mlが目安です。

レモンや砂糖がないときは何で代用できますか?

レモンは市販のレモン果汁なら同じ量で置き換えられます。ライム果汁や、柚子・すだちなどの和の柑橘でも作れますが、香りの方向が変わります。オレンジ果汁に替えるとテキサスフィズという別の名前の一杯になり、甘みは控えめにします。砂糖はグラニュー糖・上白糖・ガムシロップのどれでもよく、はちみつは少量のぬるま湯でのばしてから加えると混ざります。炭酸水だけは代用が利かず、トニックウォーターなど甘い割り材に替えると甘みが二重になります。

シェイカーがなくてもジンフィズは作れますか?

作れます。方法は2つあって、ひとつは蓋の締まる保存瓶に材料と氷を入れて15秒ほど振り、茶こしで氷を漉しながら注ぐやり方です。やっていることはシェイカーと同じなので仕上がりもほぼ同じになります。もうひとつは振らずにグラスの中で組み立てるやり方で、砂糖をレモン果汁で完全に溶かしてからジン・氷・炭酸水の順に入れます。振らない場合はシェイクで加わる水が入らないぶん、同じ分量でも1ポイントほど強く出るので、炭酸水を20mlほど多めにすると釣り合います。ガラス瓶を使うときは、洗った直後の温かい瓶にいきなり氷を入れないでください。

砂糖がグラスの底に残ってしまいます。どうすればいいですか?

入れる順番を変えてください。グラニュー糖は冷たい液体に溶けにくいので、氷やジンを入れたあとに振っても粒のまま残ります。シェイカー(または保存瓶)に砂糖とレモン果汁だけを先に入れ、完全に溶けるまで混ぜてから、ジンと氷を加えます。レモン果汁20mlは小さじ2杯ぶんの砂糖を溶かすのに十分な量があります。手間を省きたいときはシュガーシロップやガムシロップに替えると、この工程そのものが要らなくなります。ただしシロップは液量が10ml増えるので、グラニュー糖で作るより完成の度数が0.6ポイントほど低くなります。

ジンフィズとトム・コリンズは何が違いますか?

材料はほぼ同じで、炭酸水の量とグラスの大きさが主な違いです。ジンフィズは中くらいのグラスで炭酸水を控えめにするので液量155〜180ml前後、トム・コリンズは背の高いグラスで多めに満たすので230ml前後になります。45%のジンで計算すると、前者が約11〜13%、後者が約8.8%です。同じ材料でも、どれだけ炭酸水で満たすかで別の名前が付いている、という関係になります。ほかの飲み方との位置関係はジンのカクテル一覧に9杯ぶん並べてあります。

レシピどおりに作ったのに強く感じます。どこを変えればいいですか?

使っているジンの度数が、レシピの想定より高い可能性があります。カクテルブックの45mlという分量は40%台前半のジンを前提にしているものが多い一方、この図譜に収録した銘柄のうち公式に度数の記載がある71銘柄では45%以上が50銘柄、中央値は45.0%でした。47%のジンで液量180mlに仕立てると約11.8%になり、40%のジンより1.8ポイント上がります。炭酸水を増やして液量200ml前後にすれば約10.6%、ジンを35mlに下げれば約9.0%に揃います。このとき砂糖まで一緒に減らすと薄いだけの一杯になるので、動かすのはジンか炭酸水の側にしてください。手持ちの銘柄の度数は図譜のデータ欄に公式サイトの記載どおり載せています。

ジンフィズにはどんなジンを選べばいいですか?

レモンの酸と砂糖の甘みが味の大半を占めるので、ほかの飲み方に比べると銘柄の差は出にくくなります。裏を返せば、香りの強い銘柄や度数の高い銘柄を扱いやすくする飲み方です。素材の方向で選ぶなら、公式サイトにボタニカルの記載がある87銘柄のうちレモンそのものを使うと明記しているのは28銘柄、柚子やライムなども含めた柑橘の果実・皮まで広げると52銘柄でした。柑橘を使う銘柄は足すレモンと方向が揃い、茶葉や香辛料を主にした銘柄は対比になります。銘柄そのものの輪郭を確かめたいときはジンソーダのほうが向きます。選び方の軸はクラフトジンの選び方にまとめています。

杜
杜松 編集部国産クラフトジンを1本ずつ図譜にしています。事実は公式の出典から、味は飲んだ人の言葉から。

新しい図譜と、一献の便りを、月に二度。

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